テクノロジー至上主義への挑戦~世界を救うのは技術革新か~

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初めまして!

East Africa Sales Promotion インターン生の平野です。

 

実は大学院生として2年前からここタンザニアで研究しています。

 

今回は僭越ながら自己紹介をかねて僕の研究内容をちょこっと紹介します。

 

 

自分たちができたかもしれないもう一つの生き方の解明

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そもそもアフリカに来た理由は、「世界を知る」ためでした(漠然)。

 

アフリカにはどんな世界が広がっているのか。

そこに住む人々から世界はどのように見えているのだろう。

 

学部の時は、計量経済学や統計学から開発について勉強しましたが、実際に現地を訪れ彼らのリアリティを肌で知る必要性を感じていました。

そして、ただ知るだけでなく、彼らの価値観やものの見方に立って物事を見てみたいと。

 

大学院では、現地コミュニティに飛び込み、彼らと生活を共にしながら研究をする長期間のフィールドワークを行ってきました。

 

フィールドワークは、時間こそかかりますが、情報化される前の「なまの現実」を自らが経験できるのが魅力です。

まさに、「もしかしたら自分たちができたかもしれないもう一つの生き方の解明」なのです。

 

 

まるでインターン!? 現地職人に弟子入り

 

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僕がまず研究し始めたのは、現地の鉄工職人たちでした。

 

アフリカの街中には、数人単位の小さな鉄工所(町工場)が至る所にあり、クワやオノから鍋やフライパン、鉄格子や鉄門に至るまで、ありとあらゆる鉄製品を作ったり修理したりしています。

 

日本人からすれば、彼らのもつ製造技術は「遅れた」未熟なもののように映るでしょう。

 

しかし、彼らは限られた資源を巧みに利用し、消費者の幅広いニーズに応えるために、プリミティブなりの独自の技術と考え方を持っているのです。

 

 

僕はそんな鉄工所の一つに頼んで「弟子入り」させてもらいました。

 

職人たちの仕事を手伝い、仕事を一つ一つ覚えながら、彼らの技術を学ぶ。

五感すべてを動員して感得すべく、研究という名の「インターン」が始まりました。

 

当初はスワヒリ語もおぼつかず、コミュニケーションをとるのも困難でした。

しかし、職人たちがとても好意的で、一つ一つ丁寧に教えてくれたおかげで、3か月後には「もうお前は一人前だ」と言われるくらいになりました。

 

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溶接をするときは、防護マスクや手袋など、安全に十分配慮しましょう

 

 

燃料不足を救え! インターンから社内起業

 

そんなある日、「もみ殻コンロ」なるものをつくれないかという相談が、鉄工所にありました。

 

アフリカの一般家庭では、調理の際まきや炭が燃料として使われています。

それが近年、人口増加にともなって森林伐採が進み、価格が上昇しています

 

その一方で、米の消費量が増えるとともに稲作が拡大しています。

しかし、その産業廃棄物であるもみ殻は、有効な利用法がなく、精米工場の脇で山になっているのです。

 

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すなわち、もみ殻を燃やしてこれを家庭で利用できれば、これに越したことはありません。

 

しかし、問題が一つ。

 

もみ殻は普通に火をつけても、くすぶるだけで燃えてくれないのです。

 

燃料不足を補うため、何とかもみ殻を燃やすことのできるコンロをつくれないだろうかというのが相談の内容でした。

 

できるかわからないけれどつくってみようということになり、興味をもった僕は、自ら開発に乗り出しました。

 

「インターン生」から一転、「社内起業家」になったのです。

 

 

いきなり大成功!? 試作~市場テスト

 

開発を引き受けたものの、何のアイデアもありません。

もみ殻もコンロも専門外でした。

 

運よく、東南アジアで「もみ殻コンロ」がすでに開発されていることをネットで発見しました。

そこにあった写真や動画などの情報を参考に、製作が始まりました。

 

試行錯誤のすえ試作が完成。

火をつけてみると予想以上によく燃える!

 

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それを農村まで実際に持って行って試験販売。

 

精米工場の前で実演すると、これが即日売り切れ御免!

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それで終わらず。

その後、愛用して半年間使い続けてくれた人もいたのです。

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と、かなりすっ飛ばして、さも大成功しているように書きましたが、実はそれがそうでもありません。

 

その話はまたいずれ。

 

 

なぜ「今・ここ」に「これ」がないのか

 

もみ殻コンロを普及させ、燃料不足を緩和させることができるのか。

この先、課題はまだまだあるのですが、ポテンシャルは感じています。

 

だからこそ、僕は自分で作った籾殻コンロを見つめながら、ふと疑問に思いました。

 

 

なぜ「今・ここ」に、すでに「これ」が存在していないのだろう

 

「炭がなければもみ殻を燃やせばいいじゃない」なんて誰でも考えそうなことです。

その「グッドアイデア」はすでにテクノロジーとして具現化されています。

 

ネットが普及した今、誰でも容易にその情報にアクセスできます。

つくろうと思えば、現地で入手可能な材料、技術レベルでつくれます。

 

しかも熟練の職人ではなく、ほとんど素人に近い人間が。

あげくの果てに、需要は青天井。

 

こんなものがすでに存在していないことの方がおかしい。

絶対にもう誰かが試しているはずで、誰も普及させるまではできなかったと考えるのが真っ当だろう。

 

実をいうと、もみ殻コンロに限らず、いわゆる「改良コンロ」を普及させる試みは、開発業界ではよくある話だったりします。

 

途上国の女性たちは、効率の悪い伝統的なかまどを使って料理をしている。

彼女らは、毎日大量のまきを集めなければならず、煙のせいで健康にも被害が出ている。

西欧で改良された、効率的でクリーンなコンロを普及させよう!

 

そうやって数多くの「改良コンロ普及プロジェクト」が世界中で実施されてきましたが、成功事例はほとんどないと言われています。

 

もっと言えば、先進国で生み出された「イノベーション」で、途上国の課題を解決しようという試みは、それこそ枚挙に暇がないほど行われてきました。

 

改良品種、ワクチン、マイクロクレジット、ICT、などなど

 

地域住民は、それらを一度は受け入られても、しばらくすると伝統的な生活に戻っているのです。

 

 

なぜ良いはずのテクノロジーが普及しないのか。

深く、広く、大きな問題だと僕が捉えているのはこうです。

 

「テクノロジー至上主義」

 

我々はついついテクノロジーを過大評価してしまいます。

 

「テクノロジーこそが世界を変える」という過信。

「だからそれを与えさえすればよい」という楽観。

 

その結果、

「こんなものがあれば彼らの助けになるに違いない」と思い込み、

「自分たちがつくれるもの」をつくり、

短期的な成果を追い求め、結果を数量的に可視化させることに執着する。

 

しかし、主眼を置くべきはテクノロジーではなく「人」なのです。

 

つまり、

「彼らがどんな生活をし、何に痛みを感じているのか」を理解し、

「彼らが本当に望んでいるもの」をつくり、

文脈やプロセスを重視し、彼らの意志や関係性を尊重する。

 

いかにももっともらしいのですが、口で言うのは簡単です。

 

 

問題は複雑である。

すべきことはシンプルである。

ただ、少々骨が折れる。

 

これは僕が「社内起業家」として得た教訓です。

実際の現場で、あらゆることに責任を持ち、いかに素早く多くの失敗を積み重ねて、それにもめげずにやっていくしかないのです。

 

 

アフリカの地域課題を解決するために、外部のテクノロジーはいかにして有用されうるか。

僕はこの実践を通じて、それを解明していきたいと考えています。

 

 

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