世界に誇るルワンダコーヒー!海外青年協力隊を終えてもコーヒー事業に関わり続ける現地インターン生が考えるコーヒー産業の課題と未来について

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ルワンダの元マーケティング隊員、そのまま現地の会社にインターン

元青年海外協力隊で、2015年から2年間ルワンダ共和国でマーケティング隊員として主にコーヒー産業に携わって観光業支援をしていた園田裕明(そのだひろあき)です。

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現在は日本でも少しずつ流通が増えているルワンダコーヒーを卸している100%ルワンダ資本のキガリのコーヒー会社でインターンをしています。

 

今回は、近年コーヒー新興国として注目を集めているルワンダコーヒーについてご紹介します!

 

ルワンダってどんな国?

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まず、簡単にルワンダの紹介をしますと、面積は四国の約1.5倍で人口は約1,200万人、アフリカの中でも人口密度が最も高い国の一つです。

東アフリカ全般に言えることですが、標高が1,400m程あり、高いために年間の平均気温は20℃前後と1年を通して大変過ごしやすい気候です。年に各2回雨季と乾季がやってくるため降水量も比較的多く、緑豊かな国土が広がっています。

 

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(入り組む丘の様子)

 

1番の特徴は全土にまたがる独特の波打ったような地形で、ルワンダは「千の丘の国」とも呼ばれます。絶滅危惧種にも指定されているマウンテンゴリラが北部に生息しており、観光資源となっています。

また、意外に思うかもしれませんが、世界の中でも男女平等概念が進んでいる国で、政府データでは国会議員の60%以上が女性というデータもある程です。

 

ところで、「ルワンダ」と聞くと知らない人が多数、知っている人はホテルルワンダなどのルワンダ大虐殺の歴史をご存知の方がほとんどだと思います。1994年4月7日から始まった大虐殺は約100万人の死亡者を生みました。

そこからまだ20年強ですが、ルワンダは目覚ましい経済発展を遂げ、「アフリカの奇跡」とも呼ばれています。

その象徴が日本よりも事件発生率が少ないと言われる治安の良さと、首都の綺麗さです。

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(首都キガリ)

 

今では外国人女性が夜に外でランニングをしている程です。

では、その発展はどこから来ているのかというと、主にコーヒーが貢献したと言っても過言ではありません。農業従事率が約80%のルワンダでも、コーヒーの輸出総額は農作物の中でダントツのトップです。

 

そのため、いわばコーヒーは日本人のお米のように日常に寄り添う作物でもあるのです。

 

ルワンダコーヒーの歴史

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それではいよいよ、ルワンダコーヒーに関するお話に移ります。

歴史のお話からすると、1900年代にドイツの支配下であった当時のルワンダは、高い標高と肥沃な国土を買われて、ドイツ政府主導の下にコーヒー栽培をスタートします。これがルワンダコーヒーの起源です。

ただ、100年も前からコーヒー生産は行なっていたものの、いまだに現地の人たちはほとんどコーヒーの味を知らないばかりか、飲んだことも無い人が大多数です。

それは、「コーヒーは薬だ」「飲むと眠れなくなる」「高血圧なる」「心臓発作になる」などの噂を信じた人が多かったからです。

それは今でも残っており、なかなか現地の人は飲みたがりません。

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       (ルワンダのほぼ100%はアラビカ種ブルボンという貴重で高品質な品種)

 

そこから虐殺を経て2000年代に入り、コーヒー生産に非常に適した気候と環境から、経済的再生のためのヒーローアイテムとして、USAID中心に、アメリカ政府主導のスペシャリティコーヒー生産プロジェクトが始まりました。

国土が小さいため、1面積当たりの価値を高める要素が強く働いています。そうして巨大コーヒー消費国アメリカの技術支援の下で品質向上を施して行った結果、2008年にはケニアやタンザニア、エチオピア等の名だたるアフリカコーヒー名産地を抑えて、アフリカ初の国際コーヒー品評会「Cup of Excellence」の開催にこぎつけました。ここから世界の注目が一気に高まっていくのです。

 

現在、推定データではありますが市場規模は約70億円、農家数は40万世帯、生産量は約2万トンで世界30位の生産国となっています。

2014年には、ブルーボトルコーヒー等のサードウェーブと呼ばれるコーヒームーブメントが沸き起こった中で制作された映画「A film about coffee」で、世界中で厳選された生産地のうちの3つにルワンダの農家が選ばれた程です。

実際に来てみると分かりますが、本っ当に美味しいコーヒーに出会えます!

 

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(A film about coffeeのチラシ)

 

ここまで、一見して、右肩上がりの良いこと尽くしに思えるかもしれません。マクロ的視点で見ると、大成功です。

 

ただミクロ的視点で見ると、まだまだ農家さんへの利益還元が十分ではないような課題もあります。

 

コーヒー農家の暮らしぶり

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(赤い色と緑色のコーヒーチェリー。赤く熟した実だけを丁寧に摘む農家)

 

末端の農作業を実施するコーヒー農家の暮らしに目を向けてみたいと思います。

 

ザックリ言うと、コーヒー産業は

コーヒー農家 ⇒ Coffee Washing Station(CWS)と呼ばれる加工場オーナー

⇒ 輸出業者 ⇒ 商社 ⇒ カフェやロースター

 

というバリューチェーンを抱えています。

消費者まで辿るまでにどれほどの価値が付いて行くのかを考えると、農家の大変さが分かります。

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(CWSという加工場コーヒーチェリーの皮むきをする機械を使う)

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(加工場で皮むきが終わった後に良い豆を手作業で厳選する女性達)

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(輸出業者に運ばれたパーチメントが大型機械で更に外皮を取られて生豆になる現場)

 

ここで、農家の方々の仕事について、2つの視点から考えたいと思います。

 

1つ目は物理的な仕事量です。

ルワンダの1世帯農家当たりのコーヒーノキの本数は約200本。これは他国と比べるとかなり小さく、いかに零細農家が支えているかが分かります。

そして、1本当たり2kgのコーヒーチェリー(コーヒーはフルーツで、赤く熟した実から作られる)が採れます。1年に1回収穫なので、単純に考えると合計400kgの収穫をするという作業です。

しかし、ルワンダのコーヒーノキは高品質のアラビカ種であるため、病気に弱く、収穫期以外でもたくさんのケアが必要になります。例えば、年に2回肥料を与えるのですが、1本当たり10kgの牛糞を与えたりします。それを200本に与えることを想像するだけで大変です。

 

収穫も1度ではなく、木によって成熟度合が変わるので何度も農園に行き収穫をします。朝5次に起きて農園に出かけ、昼まで収穫し、その日のうちに加工場へ持って行きます。

 

更に、収穫したものを持って行くのも全てアナログです。要は徒歩です。

60kgの大きな袋を、おばあちゃんが頭に乗せて何kmもかけて歩いて加工場に持って行くのです。これらの仕事量は凄まじいものがあります。

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(コーヒーノキは山間にある)

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(約60kgのチェリーを遠くにあるCWSまで歩いて運ぶ女性達)

 

2つ目のポイントは、経済面です。

先程400kgが年平均収穫量だという話をしました。そして、加工場に持って行って初めてお金が支払われます。1kg、いくらくらいだと思いますか?

 

 

 

・・・なんと、1kg=20円です。

ちなみに、主食の青バナナは1kg=25円です。青バナナの方が簡単に育つのに、です。

 

そのため、コーヒー農家は全く儲かりません。

単純計算をすると、400kg×20円=8,000円が年収です。

 

ルワンダのGDP一人当たりで約$600(7万円くらい)ですから、1番ルワンダ人で従事者数が多いと言われるコーヒーの農家さんが8,000円ならば、低所得の人がどれだけ多いのかが分かります。

国連の定める最貧困層の基準が1日$1.25(150円程度)ですが、ルワンダコーヒー農家は8000÷365日=約$0.2(25円程度)で実に水準の20%以下です。

 

アフリカの奇跡と呼ばれる国の実態はこうした低所得層が支えているのです。

 

とても厳しい作業をしていながら経済的にも報われない産業構造が、間接的に人々の不満を駆り立てて1994年の虐殺に導いた、とも言われています。

 

コーヒー産業の課題

皆さんが飲んでいるコーヒー1杯に約10gのコーヒーが使われています。10gに約300円使っているとすると、最終的なコーヒーの価格は単純計算1kg30,000円です。

前述のように、農家のチェリーは20円にしかなりません。

この1kgのロースト豆を作るのに10kg以上のコーヒーチェリーを使いますので、10kgと仮定すると農家は200円程でこれをまかなっています。150倍の価値が生まれているのです。これをどのようにもう少し農家が持続的に生産するために還元するかが課題として政府組織も認識しだしています。ここがルワンダ国内の構造課題と言われます。

それは産業構造の問題に他なりません。

農家からチェリーを買い取ってパーチメントと呼ばれるところまで加工するCWS、パーチメントから緑色の生豆にする輸出業者、そしてロースターに届いて焙煎される過程の全てで多くの付加価値が付いて行きます。

つまり、多くのところで多額の中間マージン(上乗せ)が発生しているのです。

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農家の人にお金が行かないままでは、農家はそれこそ青バナナの栽培に集中してしまいます。そうすると、国を挙げて取り組んでいた事業自体が崩壊してしまう危機に直面します。

 

この2点で、とても厳しい作業をしていながら、経済的にも報われない産業構造が、今後のコーヒー産業の発展を左右する可能性を示唆しています。

今後ルワンダコーヒー産業はどうなる?

卸している消費国側の認識はとても高く、高い値段でコーヒーが取引されるようになりました。

ルワンダ政府も上記のような課題を認識し、持続的な優良コーヒー産業の育成を目指して農家のためにできることを検討しています。今年には農家へのコーヒーチェリー買い取り最低価格を大幅に改善させました。同時に、まだまだ日本においても知名度が低いことも分かっています。

そのため、農家へのサポートや更なる品質改善など生産面での底上げ、そしてマーケティングなど他のコーヒー有名生産国と戦うための戦略、の2つがキーポイントになっていくと感じます。

そして、その2つの成功のためには、消費国との友好関係は欠かせません。

更に言えば、日本の皆さんのコーヒー1杯に対する農家への想いが更に深まることによって、買う側も売る側も誰もが豊かになるビジネスモデルの開発に、手を入れやすくなると思います。

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フェアトレードと呼ばれて久しい時代ですが、コーヒーはその中でも1番消費者の関心が高い商品の1つになっています。私も日本にいた時は、コーヒーチェーンで飲む1杯400円のコーヒーが少し高いなと思う時が多かったです。

でも実際に来てみると、その美味しさの秘密を知るだけで、その400円の価値認識が変わりました。生産者の苦労やこだわりを考えながら飲むコーヒーは、また少し味わいを増加させてくれる気がします。

実際、コーヒーは産地や育て方によって全く味わい方が違います。

 

生産者も消費者も気持ちよく携われるコーヒー産業の育成が、この国の将来をも動かす原動力になっているのだなと、現地にいてまざまざと感じる日々です。

 

どうぞ皆さんも、いつもカフェのコーヒーがどんなところで作られているか、どんな人が作っているか、気にかけてみると、1杯のコーヒーでも色々な味わいがあると感じるかもしれません。

 

BUFCOFFEE LTD 園田裕明

 

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コメント

    • KAZU
    • 2017年 3月 07日

    コーヒーのような普段飲んでいる身近な商品が、遠いアフリカの貧しい農家の人たちの働きによってもたらされていることは、よく分かりました。
    ただ、1次産業(コーヒー栽培)だけでは儲からないのは、中間業者に搾取されているからだと捕らえるよりも、付加価値をつける産業(加工業者や仲介業者)のほうが市場的な価値が高い(より儲かる)、と考えます。
    コーヒー農家の女性が「この価格は、世界のコーヒー市場の価格より安すぎるから、もっと高く買ってくれないと、コーヒー豆を売らない」と買い取り業者と交渉することができるのであれば、そうすればよいでしょうが、他に売り先がなければ、買い取り業者から「じゃあ他から買うから君からは買わない」といわれて終わりです。
    解決策としては、
    1.コーヒー生産者が組合を結成し、買い取り業者と対等に交渉できる場を作る
    2.バングラデシュの巨大NGO・BRACが行っているように、豆の買取・加工・販売まで、サプライチェーン全体をカバーできる企業/団体を、新たに作って、その企業/団体が、零細コーヒー農家から、適正価格(もっと高い価格)で豆を買い取る
    3.政府に働きかけて、コーヒー豆の買い取り価格を値上げさせる(生産者価格を政府主導で決めさせる)

    いくつか解決策が考えられますが、どれも簡単ではありません。
    私としては、この問題を解決したバングラデシュのBRACの事例は、とても示唆に富んでいると思います。

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