インターン姫野の突撃インタビュー!第5回:あだ名はハッピー野郎、看護師多田さんが目の当たりにするタンザニアの医療現場の実態に迫る。

DSC_7480

おはようございます。姫野です。いつも、お読みくださり、ありがとうございます。

今回で『インターン姫野の突撃インタビュー』も晴れて第5回になりました。

さて、第5回目、インタビューさせていただくのは海外青年協力隊でご活躍されている多田恭子(ただきょうこ)さんです。

日本の方をインタビューするのが初なので、ちょっと緊張しました。

 

タンザニアにくるまでの道のり

姫野:多田さん、今日はよろしくお願いします!

 

多田:こちらこそ、よろしくね!

DSC_7476

 

姫野:さて、最初の質問なのですが、多田さんはタンザニアで何をされているのですか?

 

多田:今は海外青年協力隊としてタンザニアのムヒンビリ国立病院で小児病棟で働いています。

 

姫野:そもそも、なぜ海外青年協力隊に参加されたのですか?

 

多田:小学校の時(7歳)アメリカに住んでいて、社会科見学で国連の本部に行った時に、そこのスタッフに知らなかった世界の現状を教えられて、それが衝撃的で。それから、将来は途上国に行って、力になりたいと思ったの。だから、大学も看護学部に入学したんだ。

 

姫野:なるほど。国連で聞いた話で印象に残っているお話はありますか?

 

多田:世界では5歳未満の子が3秒に一人死んでいるんだよって言われて、すごいショックだったのをよく覚えているよ。

 

姫野:7歳でそのような事実は受け止めにくいですよね。僕も絶対ショック受けちゃいます。話に戻りますが、看護学校に行かれた後の話を聞かせてください。

 

多田:慶應義塾大学を卒業して、今は聖路加看護大学でマスターを取得している最中だよ。大学を卒業してから4年間、慶應の大学病院で働いていて、でも海外に行きたいからどうやって行くかを考えたの。WHOとしていくのか、国境なき医師団として行くのか、とかね。

そんな時に聖路加の大学院と青年海外協力隊のコラボレーションがあることを知ったの。内容は青年海外協力隊をしながら、大学院でマスターを取れるというもの。それの募集がかかっているのを知った時、自分の中で『これだっ!』と思って応募したの。夜勤の時とかに大学院の受験勉強をして、無事受かったんだ。

でも、大学院に入れたからといって、青年海外協力隊も合格!というわけではなくて、別で応募をしなければいけないの。だから、この連携プログラムで応募した人が私以外にもいたのだけど、聖路加には受かって協力隊には落ちちゃった人もいたんだ。

 

姫野:狭き門というか色々な障壁を乗り越えた多田さんはすごいですよね。なぜタンザニアなのですか?

 

多田:聖路加看護大の教授の研究フィールドがタンザニアだったから、ムヒンビリ病院に行くのは決まってて。私の指導教員はこの病院に???(助産カテイ)などを作った人で、タンザニアともう15年ぐらい付き合っている人なんだよね。

 

S__8470553

 

姫野:そうなんですか。その教員の方は病院にとても貢献されてますね!多田さんはこっちきて何年になるのですか?

 

多田:今、ちょうど14ヶ月ぐらい。私のプログラムは、4月に大学院に入学して、前期まで授業を受けて、去年の1月からこっちに来て、22か月こっちにいて、それが終わって帰国するとまた授業が始める。そして、来年の三月卒業。

 

姫野:ということは、合計で三年間ですね。でも、こっちきたり、帰って授業受けたりと大変ですね。

 

5SKAIZENプログラムとは?

姫野 : 話し変わるのですが、多田さんは今ムヒンビリ病院で具体的に何をされてるのですか?

 

多田:うーん、今はいろいろな事してるな(笑)

 

姫野:では、何か一つメインでやられている事を教えてください。

 

多田:今、メインでやっているのは、5SKAIZENプログラムかな。Sが整理、整頓、清潔、清掃、しつけ。何だけど、要は整理整頓して、働きやすくして、患者さんのケアを上げましょうというプログラムなんだ。

 

姫野:5SKAIZENプログラムって具体的に何をされているのですか?

 

多田:まず、私が働いている小児病棟には6つのセクションがあって、そのすべての病棟がそれぞれ改善テーマを持っていて。まず、各病棟で何が怠っているか話して、改善していくのだけど、それの全体的なフォローアップをメインでしているんだ。

S__8470552

 

姫野:ほー。すべて6つのセクションを統括されてらしゃるのですか?

 

多田:統括っていうか、私は病棟に配属っていうよりは、その小児病棟を仕切っている病棟長の事務所に居候してる感じなの(笑)

 

姫野:では、病院に配属っていうよりは病院で自分がやりたいことをするという感じですか?

 

多田:うん、でも青年協力隊の決まりで医療行為はできないんだよね。だから、最初の頃は、よくみんなに自分の存在意義が分かってもらえなかったりしたんだよね。それに、実際に医療技術を見せることができないから、現地の人の信頼感を得るのもすごく難しかったね。

 

姫野:なるほど。医療行為を見せることができないのは政府間の決まりとかが理由なんですかね。

 

多田:そうだね。日本政府とタンザニア政府の間でそういう決まりが取り決められているんだ。でも、医療行為を見せれなくても、できる事はたくさんあるんだなーと思ったの。今、私がこの5SKAIZENの中で一番、力を入れてやっているがあって。救急カートっていうのがあるんだけど、日本で言う患者さんが急変した時に対応出来るようにする緊急医療バックみたいなもので。その緊急カートの整理を頑張っていてやろうとしていて。

なぜかっていうと、日本で緊急治療室っていうと機材とかも整っていて、すごいしっかりしてるイメージがあるじゃん。だけど、こっちの小児病棟にある小児集中治療室には本当にものがないんだよね。

ある時、子供がさっき言った小児集中治療室に運ばれてきて、心肺蘇生が始まって、医者がアドレナリン持ってきてとか、なんとか持ってきてとか言っても、看護師はまず探すのね。そして、探して、『んー、ないっ。』っていうの。

医者もなんでないんだよとか怒るんだけど、看護師は『ないものはない』って答えるんだよね。他の病棟に走って取りに行くとかもしないんだよね。その時は、私が走って他の病棟に行って、あるか聞きに行くんだけど、他の病棟にもなくて。他も探したんだけど、見つからなくて、結局その子はなくなっちゃったんだよね。

 

だから、緊急時に対応出来る緊急セットを作ろうと思ったんだよね。でも、ただ作っておしまいだったら、現地人って活用してくれないのね。だから、前後比較が出来るように言われたものを持ってくるまでの時間を計ったんだ。道具が全部揃うまでに、一番早いところで2分40秒ぐらいで一番遅いところだと5分かかるところもあっただよね。

こういう時って1秒1秒がすごく大切で、それを教えた上でみんなに緊急セットを整えようって話をしたのね。看護師たちに現状を知ってもらって、やらなきゃいけない理由を知ってもらったの。

S__8470554

 

姫野:日本では考えられない体験ですね。人の命がかかっていて、一刻も早く処置をしなければいけないのに、探すことに時間かけていたら、助けられる命も助けられない確率が大きくなっちゃいますよね。

確かに、人の命がかかっているのに、整理整頓されてないと物がどこにあるかわからず、探すことに時間が取られちゃうのは危ないですよね。整理整頓された後はどう変わったのですか?

 

多田:計測が終わってみんなで一緒に整理する予定だったのだけど。一番遅かった病棟が各自でミーティングを開いて、自分たちだけで改善して緊急カートを作ったんだ。もう、すごい褒め称えたの。

でもその病棟と比べて、他の病棟はあんまりやる気がなかったから、私が一緒にやったんだ。そうしたらなんと、第二回を開催したら、一番早いところで2分40秒から2分切ったんだよね、それに3分かかってたところは2分弱も縮めることができたんだ。

終わった後に彼女らに感想を聞いたら、『とても良かった。これがあった方がいいし、次は1分切るわ!』みたいな感じでモチベーションが上がってて、すごい嬉しかったね。

 

姫野:それほど、縮まるなんてすごいですね。

 

多田:うん。でもねー、この維持がすごく大変なんだよね。

 

姫野:使ったものを元に戻さないとかですか?

 

多田:そうそう。こっちの人は使った後にものをちゃんと戻さないから。だから、チェックリストとガイドラインも作って、救急カートが緊急時以外は使ってはいけない、後、チェックリストは毎日ちゃんと物があるか確認するっていうのきまりを作ったんだけど。これがどうなるかが問題だね。

 

看護師さんの、モチベーションの実態

姫野:日本の病院とこっちの病院の大きな違いはなんでしょうか?

 

多田:うーん、一番は看護師の患者さんに対する気持ちが全然違くて、これはどっちがいいとかではなく。日本の看護師は、白衣の天使って言われるほど、患者さんに寄り添う気持ちみたいなのがあるでしょ。患者さんのメンタルの部分もサポートするみたいな。私もこれらが普通だと思ってたんだけど、タンザニアに来るとそれがないんだよね。

ある時、子供がが集中治療室に運ばれてきて、医者が蘇生に必要な機材を取ってきてって、看護師に言ったんだよね。でも、その言われた看護師はずっとチャイを飲んでて、『はいはい、持ってくる』っていうだけど。でも、笑いながらずっとチャイ飲んでたんだよね。それ見てて、私は子供死にそうなんだけどって思ったのね。まぁ、それが日本だと普通の反応でしょ。

それで彼女に言いたかったんだけど、その日が配属されて二日目で、スワヒリ語でのコミュニケーションが取れなかったんだ。その子は結局、死んじゃったんだ。その時に、私はその子が亡くなったことも悲しかったのだけど、同じ看護師なのに国が違うだけでこんなにも対応が違うんだって思って、泣いてたんだよね。怒りか悲しみかわからなかったけど。

そうしたら、その看護師がやってきて、私に『何泣いてんの』っていったんだよね。だから、助けたいと思わないのって聞いた時に、彼女は『It’s difficult because we work for money』って言われて、その時にここはそういう考え方なんだねーって気づいたんだ。

でも、それがショックでその後、看護師全員に看護師になった理由をアンケートしてみたらね。ほぼ全ての看護師が人の命を救いたいからって答えたんだよね。だから、全ての看護師がさっきの看護師みたいな考え方じゃないけれど、そういう考え方もあるって知って、とてもショックだった。

 

姫野:こんなことが起きてるなんて、僕まったく知らなかったです。日本の看護師と違いすぎて、すごいショックですね。

 

多田:うん。それを知った時がタンザニア生活で一番辛かったかな。でも、私が一年経って思うのだけど。どれだけ助けたいと思っても、物がないから助けられない。日本では助けられる命もこっちだったら物がないから助けられない。病院では、毎日人が亡くなるし、そういう助からない命が多すぎるんだよね。

だから、看護師も諦めてるってわけじゃないけど、助けたいけど物も技術も揃ってないから、成功体験があまりないのかなと思ったんだよ。

 

S__8470551

 

姫野:なるほど。助けられない環境に慣れてしまったってことですよね。

 

多田:うーん、いやそれはわからないんだけど。そうなのかもしれないとちょっと思う。やっぱり、日本人って食べるものや家にも困ったことがない人がほとんどでしょ。だから、患者さんを思う気持ちって言えるかもしれないんだけど。でも、アフリカの人たちって生きるのに必死だから、まずは生きるためのお金、それから仕事の順位で生活していると思う。私はこっちでの経験で、こうなってしまう理由も理解出来る。

 

姫野:確かにちゃんと生きることができて、やっと他の人のことに気を配れるのかもしれないですね。これは個人的な質問なのですが。僕もこっちで色々な人と話してきてんですが、多くの人が家族や親戚を亡くしたりしているんですよ。特に、親や兄弟を。でも、こっちの人はそれを平然と話すんですよ。日本だと、悲しい雰囲気になっちゃうところを、こっちの人は平然と。それにすごい驚いたんですけど、多田さんもこの違いを感じますか?

 

多田:うん、分かる。アフリカ人にはアフリカ人の命の価値観があると思う。でも、やっぱり子供が死んだりすると、悲しい。だけど、どっちかって言うと全ての事柄は神によって決められているんだっていう考え方を持っているんだよね。だから、子供が亡くなるのも神が決めたことだって思っている。

 

姫野:はい。確かにみんな同じことを言っていましたね。

 

多田:うん。だから、宗教感の違いだね。

でも、びっくりしたのがお母さんが出産で子供を亡くしてワンワン泣いている時に、看護師が『神は次の子をくれるから』って慰めていたの。目の前に亡くなった子がいるのに、次に子のこと言うのかって思って。彼女らが言うには、こっちは亡くなったこのことはすぐ忘れたいからって言っていたの。だから、逆に思い出すような事をしたり、言ったりしたら可哀想なんだって。

 

姫野:未練が切れなくなっちゃうってことですかね?

 

多田:うん。なんかタンザニア人ってすごい素直だなって思う。これらが大きな違いかな。こういうことを知った時はすごいショックだったけどね。一種のカルチャーショックなのかな。

 

姫野:僕も、日本人とは彼らは考え方がすごく違うと感じますね。でも、それが悪いっていうよりは、アフリカの現状に合った考え方だなとも思いますね。

 

怖かったこと、嬉しかったこと

姫野 : タンザニア生活でこれが一番つらいことだとしたら、一番怖かったことは何ですか?

 

多田:うーん、怖かったことは霊安室に行った時かな。日本の霊安室も行ったことがないんだけど。タンザニアの霊安室では元警察官の方たちが、ホルマリンの入った注射器でご遺体を刺してたことかな。こっちって日本と違って土葬だから、まずホルマリン漬けにするのね。それを見た時はすごく怖かった。怖くないのって聞いたら、彼らは『僕らは元警察官だから怖くないよ、ハハッ』って言っててそれもびっくりした。その日の夜は寝れなかった。。。

 

姫野:僕も絶対寝れなくなっちゃいますね。では、話は変わりますが、一番嬉しかったことは何ですか?

 

多田:嬉しいことはたくさんあるね。でも、一番は私のニックネーム入りの誕生日ケーキをくれたことかな。タンガの病院に行った時に『キョウコ』って発音が出来ないらしく、全然名前を覚えてもらえなくて、最終日に看護師からいっその事名前変えたらって言われたから、じゃ考えてよって言ったの。そしたら、『フラハ』って名付けられて。(笑)意味はHAPPY。日本語だとハッピー野郎って意味だね。(笑)

 

S__8470550

 

姫野:ハッピー野郎ですか。面白いですね。

 

多田:でも、落ち込んだ時とかに『フラハ』って呼ばれると、ハッピーでいなきゃなって思って本当にハッピーになれるんだよね。だから、サプライズで『フラハ』って書いたケーキをもらった時はすごい嬉しかった。

 

姫野:とても慕われていることが伝わります。最後に、タンザニア人と日本人の大きな違いとはなんだと思いますか?

 

多田:うーん、日本人は何事も計画をしてからやるのだけど、こっちの人は思い立ったらやる、もしくはやらない。タンザニア人は今を生きているんだと思います。いつも、『WE LIVE TODAY』って言われるのね。タンザニアでは、いつ死ぬかわからないから、やりたいと思ったら今日やる。『JUST IN CASE』っていう考え方がないんだと思う。

 

S__8470555

 

姫野:すごい分かります。『今やるか、もうやらないか』ですね。さて、残念ながら、時間が来てしまったので、これでインタビューは終わりです。ありがとうございました。今日の発表頑張ってください!

 

DSC_7480

 

 

インタビューを終えて

 

今回も、長らくお読みいただきありがとうございました。多田さんの話は普段聞くことができないとても面白い話でした。結局、他の話に聞き入ってしまって、メインで聞きたかった話が聞けませんでしたが。。。(この日、JICAのフィールド調査で多田さんが発表される栄養失調病棟にも聞きたかったですが、他の質問に時間が予想以上にかかってしまった為)ですが、多田さん自ら書いてくださることになったので、皆さんそれまでお待ちください!

DSC_7470

DSC_7471

 

これからも多田さんの活躍を応援しています。

 

ありがとうございました!

Please follow and like us:
20

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る

シェア大歓迎です!